最近、街中でも多く見られる歩行器。
種類も多く、様々なシチュエーションで使えることから、多くの高齢者が利用しています。
そこで今回は、福祉用具専門相談員の立場から「歩行器の選び方」について解説をします。
身体状況に合わせて選ぶ
まず歩行器を選ぶ際に大事なのは、身体状況に合ったものを選ぶことです。
手のしびれがあるかないか、どれくらい歩けるかなど、身体状況を把握し、それに合う歩行器を選ぶ事が大切になります。
用途(シチュエーション)で選ぶ
用途(シチュエーション)で選ぶことも大事です。
屋内・屋外で使うかによって選び方も変わります。屋内でも病院や施設などでリハビリ目的で使うのか、家の中で歩行補助の為に使うのかによって合う歩行器は違います。
また、屋外では散歩などをメインで使用するのか、買い物中心で使用するかによっても選び方は変わってきます。
歩行器を選ぶ際のコツ
歩行器を選ぶ際のコツについて解説します。
福祉用具専門相談員としてよく出る悩みや、選定する際に特に大切にしていることをまとめました。
歩行器を選ぶコツ
・折りたたむ際のコンパクトさ
・高さのクリアランス
・重量や歩行器の幅
車などに載せたり、玄関に置く方は、収納がしやすいコンパクトに折りたためる歩行器がおすすめです。
また歩行器は種類によって高さのクリアランスが違うので、その点も考慮する必要があります。
家の中で使用する場合は、廊下の幅に合い、小回りが利くタイプにした方が使いやすいです。また、コップなどの食器を載せたい方におすすめなトレイが付いた歩行器もあります。
歩行器の種類について
歩行器には様々なシチュエーションで使えることから、種類も非常に多いです。
そこで歩行器を種類別でまとめてみました。
グリップを握るタイプ
グリップを握るタイプは一般的な歩行器となります。
手に痺れなどがなく、比較的に歩行状況が安定している方におすすめです。
種類も豊富なので、自分の好みの歩行器を選びやすいでしょう。
前腕支持型
前腕支持型の歩行器とは、前腕を支持台に載せて使用する歩行器になります。
全身の筋力が低下している方や、リウマチなどで手に痺れがある方でも、体を預けて歩行器を動かせるのも大きな特徴です。
馬蹄型・固定型
馬蹄型の歩行器とは、腕を預けるパットの部分が馬の蹄(ひづめ)に似ていることから馬蹄型歩行器と呼ばれています。用途としては前腕支持型と似ています。
幅も広いものが多く安定性もあるので、施設などのリハビリ目的で使用される方が多いです。
固定型歩行器は、歩行器自体を持ち上げて前方にだし体を支えながら前進させる歩行器になります。
馬蹄型と同様にリハビリ目的で施設や病院などで使用されるケースが多いと言えます。
抑速ブレーキ付
抑速ブレーキ付とは歩行速度に応じて自動的にブレーキがかかる歩行器になります。
急加速を防ぐ役割があるので、坂道などでも安心して利用できます。また、通常の歩行時速度ではブレーキがかからないので快適に歩行ができるのも特徴です。
使う際の注意点
歩行器を使う際の注意点についてまとめていきます。
ブレーキの確認
高齢者の歩行器のブレーキかけ忘れによる転倒事故が多いです。
具体的には、立ち上がる際につかまろうとして、ブレーキがかかっていなくて転倒したり、歩行器についているイスに座る際にブレーキがかかっていなくて転倒するといったケースがあります。
転倒を防ぐためにもブレーキをかけることを習慣化することがとても大切です。
タイヤの擦り減り具合
特に屋外で使用する方に注意するべきところは、タイヤの擦り減り具合です。
タイヤが擦り減った状態で歩行すると、ブレーキの効きが悪く転倒の恐れがあります。
歩行器と体との距離
特に歩行訓練向けの歩行器を使用する際に、体との距離が大切です。
歩行器と体が遠すぎると不安定になり、逆に近すぎると後ろに転倒する危険があります。
専門相談員が選ぶおすすめの歩行器
福祉用具専門相談員の目線からおすすめの歩行器を紹介します。
テイコブリトルホーム
特徴
・軽量、コンパクト
・滑り止めトレイ付き
・小回りが利く
「テイコブリトルホーム」は屋内歩行器として非常におすすめです。
トレイが付いており、荷物を運ぶのに非常に便利な歩行器になります。さらに幅も狭くコンパクトなので屋内での移動がしやすいので、屋内で使用するのに非常に人気です。
ジェミノ
特徴
・デザイン性が高い
・安定感がある
・コンパクトに収納可能
「ジェミノ」は屋外歩行器として非常におすすめです。
車輪(直径20cm)が太く安定性が高く、アルミを使用したフレームなので非常に軽いです。コンパクトに折りたたみ可能なので、省スペースで収納できる点も非常に喜ばれています。
またなんといってもスタイリッシュで、デザイン性が非常に高い点も人気の要因です。弊社もレンタルの歩行器としてよくでていまして、「買い物や友人との集まりなども楽しくなった!」という声もいただいています。
歩行器は購入もしくはレンタルが可能
歩行器を利用するには、購入かレンタルの2種類があります。
一般的に、介護認定を受けられている方であれば、レンタルで借りることをおすすめします。
介護認定を受けていない場合や、長期で利用したい場合、家族へのプレゼントを検討している方などは購入もおすすめです。
レンタルの場合は要支援1から借りられる
歩行器は、介護認定がおりたら要支援1から借りることができます。
介護保険サービスを利用した、1割~3割の負担額になります。月々、低価格でレンタルできる点は福祉用具レンタルのメリットです。
ベッドや車いすは基本的に要介護2以上でないと、介護保険サービスが適用されません。
しかし、歩行器はどの介護度でも借りることができる点から、非常に多くの高齢者が利用しています。
レンタルはメンテナンス・交換が無料
歩行器を含む福祉用具レンタルは、メンテナンス・交換が無料です。貸与している業者の方が、定期メンテナンスを行ってくれます。歩行器はタイヤが摩耗したりするので、交換が無料でできるのは大きなメリットです。
まとめ
今回は、歩行器の種類や選び方についてまとめました。
歩行器には様々なタイプがあり、身体状況や用途(シチュエーション)によって、自分に合う歩行器も違います。
快適に暮らすため、また転倒を防ぐためにも歩行器は高齢者にとって欠かせない存在です。
そんな歩行器選びの参考に少しでもお役に立てましたら幸いです。